しずかであつい

美術モデル 碓井翠雨(ウスイスイウ)

ポーズ中、何を考えているの?

学生さんと話すとよく出てくるのが、この質問です

 

身体はずっと動かないのですが、頭の中は自由です

ぐるぐるぐるぐる…どんどん思考は変わっていきます

 

まずはやはり、ポーズのことです

休憩時間に入ったときにメモすることをピックアップしていきます

身体や顔の向きや傾き、手足の形、視線を固定する目印のこと、重心はどこか、髪型やときにはメイクやネイルはどうしているか…などです

あーいま肩に置いた手がずれてきているなぁとか、身体のひねりがとれてきているなぁなど、変わりやすい場所を感じとりながら少し動いて微調整することもあります

 

クロッキーのときはもっぱら次のポーズをどうしよう、ということです

ポーズは大きく分けて、立ちポーズ・座りポーズ・寝ポーズの3種類あります

それらをバランスよく混ぜて、いろいろな絵を描いてもらいたいと思っています

身体の向きも大事です

ポーズ台は四方もしくは三方に囲まれていることがほとんどです

描き手さんは場所を動かないことが多いので「今日は背中しか描けなかったな」なんてことがないように、今度の立ちポーズは今と反対向きでつくってみよう、などと考えています

 

そんなポーズについてのあれこれを考えない時間も訪れます

するとそこには心地好い作業音と視線

今だ行け!というような熱い音(視線)、これでいいのか迷っているかのような音(視線)、好きな音楽を聴いているときのような、気分と身体(作業する手)のリズムがぴったり合った音(視線)…

窓がある部屋だと、鳥の鳴き声、風の音、雨の音、電車の走行音、街のざわめきが聞こえてきたりもします

カルチャーセンターだと他の教室で音楽講座を開いているらしく、演奏やコーラスが聴こえてくることもあります

私はそれらを静かに感じとる受容体になります

 

 

 

タイマーが鳴って我に返るまでの、不思議な時間です