しずかであつい

美術モデル 碓井翠雨(ウスイスイウ)

動いていないとは言うけれど

美術モデルはポーズ中、動かないことが仕事です

…と何度も述べていますが、実際は少しずつ動いています

「極力動かないようにしている」が正解に近いです

 

ポーズ時間が始まると美術モデルは動きを固定するのですが、最初は身体に力みがあるようで、それがだんだんほぐれてくるのが3~5分経ったころでしょうか

先生などの手慣れた方はこの時の印象を描き留めているようです

そして身体のひねりが徐々にとれてきたり、力が抜けて肩が落ちてきたり、立ちポーズのときは脚の重心が最初よりずれた位置で安定したり…など、少しずつ変化が出てきます

ここの変化がですね!

モデル本人としては修正した方がいいのか、そのままにしておいた方がいいのか、制作者側にはどこまで変わって見えているのか…悩むところです

頬にあてた指の位置が数cm下がってきている、腰に添えた手がすべってずり落ちた、前屈みになりすぎて、さっき触れていなかった身体と腕がくっついている…など、明らかに変わってきている場合はグッと直してしまうのだけれど

 

先生がいる場合はたまに意見を聞いてみます

微妙なズレなら構いません、と言われることが多いです

モデルは止まっているけれど、人間なのですから…と

動の中の一瞬を切り取ってポーズとして留めているのだから、上げている腕が辛くなってきたら下ろしてもいいです

それで身体がどうやって動いているのか仕組みが解るのだから…と言われたときもありました

マネキンでも彫像でもない、モデルを呼んでくださっている理由がわかった気がしました